【特定技能】タイ人の介護士を雇用するメリットや注意点、国民性は?

少子高齢化の加速とともに、労働力人口の減少が年々深刻化している日本において、人材の確保は急務ともいえます。外国人を初めて雇用するとなると、コミュニケーションや言語の問題など様々な不安を抱えることでしょう。国によって文化や考え方も異なるため、トラブルを未然に防ぐためにもそれぞれの国民性を理解することが必要です。

この記事では、タイ人の特徴や介護分野で雇用するメリット、注意点を解説いたします。

日本の人手不足問題と外国人労働者

人手不足がより深刻な介護分野では、若い人材が豊富なアジア諸国から労働者を受け入れる外国人雇用に期待が高まっています。

実際の介護業界では、低賃金、時間外の事務的作業の多さ、精神的・身体的な疲労などのマイナスなイメージを理由に、若い世代の就職率がは思うように伸びていません。全国労働組合総連合(全労連)の調べによると、2019年の施設介護労働者は20代が10.9%、訪問介護では1.0%という結果となり、今後の介護業界を担っていく若い世代が顕著に少ないことが分かります。

併せて就労年齢の高齢化も深刻な問題で、登録ヘルパーの平均年齢は58.7歳、60歳以上が全体の51%を占める結果となりました。就職率の低さや介護に従事する側の高齢化により、現場の負担が増え、今後更なる離職率の増加が懸念されています。

特定技能制度とは?

2019年4月より、介護分野を含めた人手不足が深刻な業界において、新たな外国人雇用制度である「特定技能制度」が開始されました。

「特定技能」と、既存の在留資格である「技能実習」は、名前や在留期間の区分が似ているため、混同されることがあります。しかし「技能実習」では日本の技術を学ぶことで自国の経済に役立てるという「国際協力」を目的にしており、単純労働ができない等、特定技能とは目的やできる活動が大きく異なっています。

対して特定技能は、外国人を労働者として受け入れるための在留資格です。即戦力の労働者として受け入れるため、資格を得るために日本語能力試験と分野ごとの技能試験に合格する必要があります。

参考:全国労働組合総連合公式HP
関連記事:介護分野で特定技能外国人を雇用したい!介護施設の受け入れ要件は?

日本でタイ人を雇用するメリット

ベトナム、フィリピン、インドネシアなどのアジア諸国の中でも、「微笑みの国」と呼ばれる魅力的な国民性を持つのがタイ人です。

外国人を初めて雇用するとなると、コミュニケーションや言語の問題など様々な不安を抱えることでしょう。国によって文化や考え方も異なるため、トラブルを未然に防ぐためにもそれぞれの国民性を理解することが必要です。

タイ人の特徴を理解した上で、介護分野で雇用するメリットをみていきましょう。

①ポジティブ

タイは、温暖な気候で国内自給率が高く、米やパーム油、天然ゴムなどの豊富な資源と食料に恵まれています。そのような土地柄もあり、タイ人は温厚で楽観的な性格の人が多いとされています。些細なことで怒ったりせず、平和に過ごすことを好むため、職場の雰囲気を和ませてくれるでしょう。

また小さなことにこだわらず寛容な性格であるため、ポジティブな考え方を持っています。

タイ人の持つポジティブ思考は、職場においても良い影響をもたらすでしょう。何事も考えすぎてしまう日本人に対して、タイ人の前向きな考え方は物事が円滑に進む原動力ともなりえます。また介護ケアにおいて、利用者を元気づけたり喜ばせたりすることで、患者の精神的ケアに期待できます。

タイ人のポジティブな面を積極的に活かすことで、より良い職場環境が期待できるでしょう。

②ホスピタリティが高い

タイは、国民の94%が仏教徒であり、仏教が国民の精神的な支柱となっています。仏教の教えはタイ人の価値観や人生観に大きく影響しており、日常生活の中で息づいています。

仏教の教えの中でタイ人が特に大切にしていることが、タンブンという習慣です。タンブンとは「徳を積む、善行」の意味合いがあります。輪廻転生を信じる仏教では、善い行いを積み重ねることで、来世で幸せになれると信じられているため、タイ人は幼い頃から困った人を助ける精神が身についています。介護ケアが必要な利用者に対して、心のこもったより良いサービスを提供してくれることでしょう。そして職場で助けが必要な時には、快く引き受けてくれる寛容さを持っています。

また観光産業が盛んなタイでは、高水準なホスピタリティが魅力です。争いごとを避ける温和な性格のタイ人は、人々を手厚くもてなし、癒すことに優れた魅力溢れる国民性を持っています。特に年配者に対しては、敬意を払い、謙虚に接することが重要視されます。タイ人の持つホスピタリティの高さは、介護現場においても、利用者に対する丁寧で細やかなケアとして実践され、大きな強みとなるでしょう。

参考:外務省 タイ基礎データ

③学習意欲が高い

タイは学歴社会といわれており、学習意欲に溢れています。タイの教育制度は、日本と同じく9年間の義務教育と12年間の基礎教育です。近年の教育改革により、平等な教育機会の保障が進められており、理由なしに義務教育を受けさせていないと保護者や監督者に罰金が科せられます。

UNESCOの調べによると、2021年の大学進学率は日本が64.62%に対し、タイは43.83%です。東南アジアが加盟するASEAN諸国の中ではシンガポール、日本についで3位の進学率となっています。

教育制度の整備は進んでいるものの、都市部と農村部では未だ教育格差があるため、日本に比べて進学率はそれほど高くはありませんが、大学へ進学する代わりに職業訓練校を選択する若者も多いです。専門的なスキルを磨き、海外で働きたいという意欲に溢れた優秀な人材が多いともいえます。学習意欲が高いタイ人は、ステップアップを目指し、日々の業務に対して意欲的に励んでくれることでしょう。

また世界的な日本食ブームや日本のアニメの影響もあり、タイ人は親日家の人が多いともいわれています。日本語を学びたいと自主的に勉強する人もいるほどです。日本語習得に意欲的で、日本人に対して好意的な印象を持っていることは、職場においてもコミュニケーションを円滑に進めるプラスの要素ともいえます。

参考:GLOBAL NOTE 出典:UNESCO

タイ人雇用の注意点

前述したように、外国人を雇う上でそれぞれの国民性を理解することが大切ですが、同時に日本で就労するにあたって最低限のルールを伝える必要があります。何か問題が起こった時に伝え方を間違ってしまうと、タイ人の信用を失くし、良好な雇用関係が破綻してしまう可能性があります。タイの文化や考え方に配慮し、適切な指導方法を慎重に考えていきましょう。

また雇用手続きの際にはタイ独自の制度があるので、手順に沿って手続きを進めて行く必要があります。

では、タイ人を雇用する際の注意点をみていきましょう。

①タイと日本の間で独自の制度(二国間協定)がある

2020年2月4日、日本とタイは特定技能制度に関する二国間協定を締結し、2020年7月27日より運用が開始されました。

二国間協定は、外国人人材を送り出す国と日本との間で、雇用ルールや取決め事項を明確にすることで、両国の協力、連携を円滑に図る目的があります。また不当な労働環境で就労を強いられる外国人労働者の人権保護という役割もあります。

この制度に基づき、タイ人雇用にあたっては特有の手続きが必要です。

タイ人の採用方法は3通りあり、現地送り出し機関を経由する方法以外にも直接雇用が可能です。しかし、リクルート目的で現地を訪問をすることは法令違反となります。どの採用方法を選ぶかによって、必要な手順が異なるので必ず確認しましょう。

詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。

関連記事:【特定技能】タイ人採用の手続きや流れについて

②楽観的である

タイ人の人柄を表す代表的な言葉が、「マイ・ペンライ」と「サバーイ」の精神です。

マイ・ペンライは日本語で「大丈夫」「どうにかなる」「気にしない」、サバーイは「快適」という意味です。この2つの言葉は、タイ人同士の日常会話の中で良く使われます。

何事にもポジティブで寛容な性格のタイ人は、小さなことにこだわらず、細かいことは気にしません。たとえば約束の時間に遅れるなど、時間にルーズな一面もあります。タイでは交通機関の遅延も頻繁に起こることから、予定時間に遅れてしまっても、互いに寛容な姿勢を見せます。渋滞などの理由で遅刻した場合も「大丈夫」という言葉で片付けられてしまうかもしれません。

時間遵守が最低限のビジネスマナーという認識は、タイ人にとって当たり前ではないことを念頭に入れ、日本で働く上で守るべきルールをしっかりと伝える必要があります。

③文化の違いを理解する

何事にも一生懸命で、真面目な性格のタイ人にとって、「人前で叱責されること」は侮辱されたように感じてしまう可能性があるため特に注意しましょう。

仏教の教えでは争いごとを避け、問題が起きた時には平和的に解決することが望まれます。日本では職場でミスをすると、上司が部下に叱責する場面がみられますが、争いごとを嫌うタイ人はとても不快に感じることでしょう。特に同僚の前で怒鳴られることがあれば、タイ人の信用を一気に失うことになりかねません。

また日本人の「空気を読む」という特有の文化は、外国人には通用しません。意思疎通を明確にすることが外国人雇用を成功へ導く鍵となります。

業務内容や勤務態度の助言や指導を行う場合は、個別で話し合う場を設け、理由も添えてしっかりと説明することが重要です。そして定期的に業務の進捗状況を確認することも大切なコミュニケーションとなります。また失敗を咎めるのではなく、良い面を褒めて伸ばす指導方法を実践することで、彼らの仕事に対するモチベーションは上がり、お互いに良好な関係を築くことができるでしょう。

こうした文化の違いを理解し、適切な指導方法を実践することが、お互いの信頼関係を築く上で大切な要素となります。互いの文化を尊重しながら、働きやすい環境づくりを目指しましょう。

まとめ

この記事では、介護業界でのタイ人雇用の際のメリットと注意点を解説しました。

外国人雇用の前には、その国の文化的・宗教的背景を理解することで、トラブルを未然に防ぎ、コミュニケーションを円滑に進めることができます。外国人労働者にとって安心して働ける職場環境を保障することで、彼らの長期的な就労継続が期待できます。それは企業にとって将来的に安定した人材の確保につながることでしょう。

外国人雇用を検討している、人手不足を解消したい企業様へ無料でご相談に乗りますので、外国人雇用に関するお悩みやご質問がございましたら、ぜひお問い合わせくださいませ。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です