2022年8月に、特定技能の建設分野業務区分が、19区分から3区分へ再編されると閣議決定されました。この記事では、区分の再編に伴う変更点や、各区分の業務内容について解説いたします。
特定技能【建設】分野とは
2019年4月、日本政府は日本の少子高齢化による労働力不足に対応するため、新しい在留資格区分である「特定技能」を導入しました。この制度は、外国人人材が技術的なスキルを発揮するための手段であり、2つのスキルレベル「特定技能1号」と「特定技能2号」に分かれています。
このビザの対象となる12の新産業のうち、特定技能1号と2号を併せ持つのは、建設業と造船・舶用工業の2業種のみです。さらに、2022年8月30日には、この特定技能のカテゴリーの再編成が行われ、建設業に関連する業務が新たにカテゴリーに含まれるようになり、より広い範囲の業務が可能になりました。
建設分野の業務区分変更の背景
内閣府が建設業と製造業を統合する以前は、19の分類があり、その業務範囲は限定されていました。
しかも、その細分化された技能区分では限定された業務もあり、専門業者団体から嘆かれていた問題となっていました。そこで、この不足を解消するための方策として、統合が決定されました。
旧区分では細かく19分類されていた業務が、新しく、大きく3つの区分「土木区分」「建築区分」「ライフライン・設備区分」に分けられることになりました。
新旧の業務区分内訳
新業務区分での業務内容の詳細(建設分野)
業務区分【土木】で行える業務内容
業務区分「土木区分」は、管理者の監視と制御のもと、土木インフラの建設、改修、維持、固定などの活動によって定義される分野です。土木作業の一般的な例としては、以下のようなものがあります。
- コンクリート圧送
- 土工
- 建設機械施工
- とび
- 型枠施工
- 鉄筋施工
統合前は、建設機械施工の資格を持つ特定技能外国人は、建設機械施工の業務しか行えませんでしたが、統合後は、土木の資格を持つ特定技能外国人は、土木に含まれるすべての業務を行うことができるようになりました。
加えて、統合後は、土木施工管理技士の資格を持つ特定技能外国人が、土木施工管理技士に含まれるすべての業務を実施することも可能となっています。建物の基礎や壁などの構造物の設計・計画・施工も含まれます。さらに、衛生、水利、交通など、環境に関わる複数の独立したインフラを融合させ、総合的なインフラを構築することも土木の仕事です。
さらに、構造物の適切な維持管理も含まれますので、統合化により、より多くの役割を担うことができ、経験の幅が広がりました。より多くの熟練労働者が土木工学に関連するより多くの業務をこなせるようになったことで、雇用機会の創出や、取得した様々な資格の組み合わせによる恩恵を受けることができるようになったのです。
業務区分【建築】で行える業務内容
業務区分「建築」は、監督者の指導のもと、建造物の建設、拡大、再生、移動、補修、改造などの作業を行う職種となっています。建築の一般的な業務内容としては、以下のようなものがあります。
- 型枠施工
- 左官
- コンクリート圧送
- 屋根ふき
- 土工
- 鉄筋施工
- 鉄筋継手
- 内装仕上げ
- 表装
- とび
- 建築大工
- 建築板金
- 吹付ウレタン断熱
職種としての土木と同様に、統合後は、建設分野で働くために必要な資格や証明書を持つ外国人が、さまざまな建築領域に関連する仕事を行うことができます。
建築は、環境、構造、交通まで含む幅広い分野です。統合後に建築を専門分野とすることを決めた人は、下水道や上水道、公共および民間の道路、橋、トンネル、空港、港湾、その他多くの公共および民間インフラの建設に関する幅広い知識を身につけることができます。さらに、外国人土木技術者は、既存の建築物の状態を評価し、その現状を改善するための実行可能なソリューションを提供する能力も備えています。このように、彼らのサービスは、建設分野や、業界で高く評価されることでしょう。
業務区分【ライフライン・設備】で行える業務内容
業務区分「ライフライン・設備」のスペシャリストは、管理者の指導のもと、通信・ガス・水道・電気などの機械設備の維持・設置・変更・復旧を行う仕事です。代表的な業務内容は以下の通りです。
- 電気通信
- 配管
- 建築板金
- 保温保冷
「ライフライン・設備」の資格を取得した特殊技能を持つ外国人であれば、上記のすべての業務をこなすことができます。この分野の専門知識を持つ彼らは、業界に多大な貢献をする可能性を秘めているでしょう。
彼らは最新の技法に関する豊富な知識を持ち、場合によっては、電気設備、公共事業、水中基礎など、大規模な建設プロジェクトを監督することも可能です。
また、当局の厳しい監視のもと、安全衛生に関する規制を遵守し、プロジェクトに関わるすべての人々を守りながら、プロジェクトを完成させることができます。彼らは、建設チームの貴重なメンバーであり、その専門知識と技術のために求められています。
建築分野の熟練した特定技能外国人は、土木建設業界の成長と成功のために大きな可能性を提供しているのです。
業務区分以外の変更点
建設業は業務区分以外では、業務区分が3区分が統合されたことに伴って、試験区分も同じように3区分に統合されました。試験内容がこれまでのものとは違い、変更となっているのでここからは試験区分の変更点について詳しく解説していきます。
試験区分の変更
特定技能1号技能評価試験に合格した受験者は、統合作業終了後、土木・建築、ライフライン・設備など、資格取得に伴うすべての業務に従事する資格が与えられます。
2022年度からは、試験時間が60分の従来型試験(正誤問題30問、選択問題2~4問)と、試験時間が40分の変更型試験(正誤問題20問、選択問題2~4問)から選択することができるようになりました。ただし、実際の問題数や時間配分は、選択した専門分野によって異なります。
◆参考資料
>> 概要資料「建設分野の特定技能に係る業務区分の再編について」
特定技能の登録支援機関について
特定技能外国人を受け入れる場合、定められた支援が必要となります。「登録支援機関」とは、特定技能外国人(1号)が、特定技能の在留資格に基づく活動を円滑に行えるよう支援を行う機関です。
支援の内容は、下記の10項目です。
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保に・生活に必要な契約に係る支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
特定所属機関(受入れ機関)は、受け入れる外国人人材に対してこの項目にある支援を実施しなければいけませんが、特定技能外国人の母国語でかつ専門的な内容となるため、施がが難しいかもしれません。
その場合は支援内容の一部または全部を、「登録支援機関」へ委託することができます。
人財ワークスは「登録支援機関」が運営しています
弊社は「登録支援機関」として、外国人材がより長く安心して日本で働けるためのご支援を行っております。特に、アジア、タイとの繋がりが深く、現在タイ現地へ日本語学校を建設中です。
外国人人材の雇用を検討している、人手不足を解消したい企業様へ無料でご相談に乗りますので、外国人人材雇用に関するお悩みやご質問がございましたら、ぜひお問い合わせくださいませ。