【特定技能】タイ人採用の手続きや流れについて

特定技能制度でタイ人の受け入れを行う場合には、他の国とは違う特有の手続きが必要となります。この記事ではタイ国籍の人材を採用したい場合の採用手続きの流れや、採用の注意点を解説します。

二国間協定の締結について

2020年2月4日、日本とタイの間で特定技能についての二国間協定を結び、この協定が同年7月27日より運用されることになりました。

この協定により特定技能制度を適正に実施し、特定技能外国人が人権侵害を受けたり、金銭的に搾取されることなく、保護されることが約束されることになります。

特定技能制度でタイ人を採用をするときの注意点

特定技能制度ビザを活用して、タイから受け入れをする場合、他国とは異なる手続きが必要になるので気を付ける必要があります。

その違いとは、

✔︎ 駐日タイ王国大使館労働担当官事務所による雇用契約書の認証を受ける必要があること

✔︎ 特定技能外国人本人による海外労働・出国許可申請が必要であること

✔︎  タイ現地での日本企業による採用活動が禁止されていること

です。それでは詳しく見ていきましょう。

注意①雇用契約書の認証 

日本企業は、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に雇用契約書を提出し、認証を受ける必要があります。

その際、特定技能ビザを申請するまでに「事前ガイダンス」を済ませておくと、手続きがしやすくなります。

注意②海外労働・出国許可申請

採用される特定技能外国人は、ビザ(査証)発給を申請した後、タイを出国する前にタイ王国労働省より認証を受けた雇用契約書を提出して、出国許可の申請をします。許可が出るまで待つことが必要です。

出国許可が出て初めて、特定技能の在留資格と就業が認められるのです。

注意③現地での採用活動は禁止

タイ人を特定技能外国人として採用する場合、日本の企業がタイを訪問して採用活動を行うことは、タイの法令で禁じられています。

ただし現地に赴くことさえしなければ、現地の紹介会社(送出機関)を利用しなくても、タイ国籍を持つ人に対して日本企業が採用活動をすることは認められています。

タイ在住・タイ国籍の方を採用する流れ(送出し機関を利用しない場合)

次に、特定技能制度を活用したタイ人を採用する流れについてご紹介します。

タイ人を採用して、日本企業で働いてもらう場合、以下の3つのケースが考えられます。

  1. 紹介会社を介さずにタイ在住・タイ国籍の方を採用する
  2. 紹介会社を介してタイ在住・タイ国籍の方を採用する
  3. 既に日本に在住しているタイ国籍の方を採用する

それぞれのケースでやるべきことが異なります。一つずつ見ていきましょう。

まずは「送出機関」という現地の人材紹介会社を介さずにタイ在住・タイ国籍の方を採用する場合の流れについて確認していきます。

詳細は下記の流れを読んでいただければ分かりますが、雇用契約書の認証と海外労働・出国許可申請は、特定技能制度においてタイ人を採用する際に必要となってくる特有のステップとなるので、気をつけてください。

①人材を募集する

まずは求人を出しましょう。紹介会社を介さずに求人を出すためには主に二つ方法があります。

  • 現地向けの就職サイトに求人情報を掲載する
  • SNS等現地の求職者が活用するメディアに求人情報を掲載する

※日本の企業がタイを訪問して採用活動を行うことは、タイの法令で禁じられています。

②雇用契約を締結する

その後、面接等の採用活動を進め、採用する人物を決定したら、日本企業はその方と直接特定技能に係る雇用契約を締結します。

紹介会社の利用の有無に関係なく、特定技能に係る雇用契約は、日本企業が直接求職者と締結する必要があります。

③在留資格の取得申請を行う

採用決定後、日本企業は地方出入国在留管理官署で、特定技能に係る在留資格認定証明書の交付の申請を行います。

在留資格認定証明書の交付後に、交付された書類の原本を内定者に郵送することを必ず忘れないようにしてください。

④タイ大使館に雇用契約書の認証を得る

送出機関を介さない場合、このステップが必要になります。

日本企業は駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に雇用契約書等の書類を提出し、認証を受ける必要があります。郵送での書類の提出も認められています。

採用者をタイから呼び寄せる場合と、既に日本にいるタイ人を採用する場合の、どちらも雇用契約書の認証が必要となります。雇用契約書が認証された場合、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所の認証印が押されます。

⑤ビザ(査証)の発給申請を行う

次に、日本に入国するために必要となるビザの発給申請を、内定者本人が行います。

在留資格認定証明書(上記③の書類)をタイ日本国公館へ提示する必要があります。

在留資格認定証明書の原本は内定者本人が持っています。内定者はこの書類を在タイ日本国交館に持っていき、特定技能に係るビザ発給の申請をします。

⑥海外労働・出国許可申請を行う

特定技能で採用者をタイから呼び寄せる場合、内定者はタイ現地で、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所から認証された雇用契約書等の書類をタイ王国労働省に提出し、出国許可の発行を申請しなくてはなりません。

許可が下りたら、日本に入国することが認められ、就業をスタートさせることができます。

手続きそのものは内定者本人が行うことになりますが、日本企業側もこの手続きが必要であるということを忘れないでください。

⑦出国手続きを進める

タイ人内定者はここまでの手続きを経て、日本に到着した際に行われる上陸審査を通過することができたら、晴れて特定技能の日本在留資格を得ることができます。

日本到着後15日以内に、タイ人内定者は駐日タイ王国大使館労働担当官事務所へ、来日報告をすることを忘れてはいけません。

タイ在住・タイ国籍の方を採用する流れ(送出機関を利用する場合)

続いて、紹介会社を介して、タイ在住、またはタイ国籍の方を採用する流れについてご紹介します。

現地の「送出機関(人材紹介会社)」を活用しても、活用しなくてもタイ人採用の流れに大きな違いはありません。

紹介会社を介するメリットは、現地での募集や採用手続きを任すことができ、採用負担の軽減や時間の節約に繋がります。デメリットとしては、手数料が発生することが挙げられます。

①現地の送出機関を探す

タイ現地で外国人の募集と紹介を行うのは送出機関の役割です日本での採用活動が難しい場合、現地の送出機関を探し、決定しましょう。

タイ王国労働省雇用局または国外紹介事業者を現地の送出機関として利用することができます。信頼できる送出機関を探しましょう。

②雇用契約書ひな形にタイの大使館から認証をもらう

送出機関を介してタイ人を雇う場合は、採用活動開始前そして送出機関による人材の斡旋を受ける前までに、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に雇用契約書のひな形を提出し、タイの大使館から認証をもらう必要があります。郵送で書類を提出することも認められています。

認証された雇用契約書のひな形には、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所の認証印が押されることになっているので、よく確認しましょう。

またタイの紹介会社としては、多くの場合、技能実習生の送出機関が許可を得ています。そのため、既に取引をしたことがある送出機関がある場合は、特定技能外国人の紹介と斡旋も期待できます。

③人材を募集・面接・採用して雇用契約を締結する

認証をもらい次第、送出機関より人材を紹介してもらって、求人・採用活動を始めましょう。

自社に見合った人物がいたら、面接をします。採用することが決定した際は、日本企業は内定者との直接特定技能に係る雇用契約を締結します。

タイの大使館から認証をもらった雇用契約書のひな形(上記の②参照)と同じ内容の契約書を作成し、受入企業側は押印を、内定者本人は署名をします。

この手続きを在留資格の取得やビザ(査証)の発給の申請までに終わらせるように進めます。

④在留資格の取得申請を行う

採用を決定した後、地方出入国在留管理官署で、特定技能に係る在留資格認定証明書の交付の申請を行います。

特定技能に係る在留資格認定証明書が交付されたら、同書類の原本を必ず内定者に郵送するようにしてください。

⑤ビザ(査証)の発給申請を行う

そして、日本に入国するために必要となるビザの発給申請を内定者本人が行います。

在留資格認定証明書(上記④の書類)をタイ日本国公館へ提示する必要があります。在留資格認定証明書の原本は内定者本人が持っているはずです。内定者はこの書類を在タイ日本国交館に持っていき、特定技能に係るビザ発給の申請をします。

⑥海外労働・出国許可申請を行う

特定技能で採用者をタイから呼び寄せる場合、内定者はタイ現地で、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所から認証された雇用契約書等の書類を、タイ王国労働省に提出し、出国許可の発行を申請しなくてはなりません。

許可が下りたら、日本に入国することが認められ、就業をスタートさせることができます。

手続きそのものは内定者本人が行うことになりますが、日本企業側もこの手続きが必要であるということを忘れないでください。

⑦出国手続きを進める

タイ人内定者はここまでの手続きを経て、日本に到着した際に行われる上陸審査を通過することができたら、晴れて特定技能の日本在留資格を得ることができます。

日本到着後15日以内に、タイ人内定者は駐日タイ王国大使館労働担当官事務所へ、来日報告をすることを忘れてはいけません。

日本在住・タイ国籍の方を採用する流れ

最後に、既に日本在住のタイ人を採用するための流れをご紹介します。この場合は、タイ人留学生や技能実習生がターゲットとなるでしょう。

送出機関を介さない場合と同様に、受け入れをする日本企業は直接タイ人と雇用契約を結べることが特徴です。

既に日本にいるタイ人をターゲットにすることで、ビザ(査証)の発給や海外労働・出国許可申請などの手間が省けるだけでなく、手続きにかかる時間も大幅に短縮されたり、企業が負担する費用も削減されるといったメリットがあります。

①採用活動を行う

まずは以下の方法を使って求人を出しましょう。

  • 自社のホームページに求人情報を掲載する
  • ハローワークに求人を出稿する
  • 採用したいが人材が活用しそうな求人サイトやSNSを活用する
  • 日本国内にある人材紹介会社を活用して紹介してもらう

また、社内で既に受け入れている技能実習生に対してもこのフローが活用されます。自社で既に受け入れている技能実習生から、特定技能外国人を選ぶ際には、技能実習満了日を考慮に入れ、時間的に余裕を持って手続きを進めるようにしましょう。

②雇用契約を締結する

面接などの採用活動を進め、自社に合う人物に内定を出しましょう。

採用決定後、日本企業側はその内定者と直接特定技能に係る雇用契約を締結してください。

他社から特定技能外国人を採用する際には、現職の受け入れ企業から合意を得ることと、退職日の確認を取ることを忘れてはいけません。

③雇用契約書ひな形にタイの大使館から認証を得る

次に、在日タイ人を採用する際には、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に雇用契約書のひな形を提出し、タイの大使館から認証をもらう必要があります。

郵送で書類を提出することも認められています。

認証された雇用契約書のひな形には、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所の認証印が押されることになっているので、よく確認しましょう。

④在留資格の取得申請

最後に、採用決定後に、地方出入国在留管理官署で、特定技能に係る在留資格変更申請の手続きを行います。

なお在留資格である「技能実習2号」または「技能実習3号」から、特定技能のための在留資格に変更する場合は、上記③の認定された雇用契約書を申請書類として提出する必要があることを忘れないようにしてください。

⑤地方出入国在留管理官署で手続きを行う

雇用契約締結を行うと、日本とタイの2国それぞれで手続きが必要になります。日本においては、地方出入国在留管理署で、「特定技能」に係る在留資格認定書の交付申請をすることが求められます。

この手続きを通じて、当該内定者が保持している在留資格を、「特定技能」のための在留資格に変更することができるのです。

「特定技能」のための在留資格変更が認定されたら、手続き終了です。

変更が認定されてから15日以内に、特定技能タイ人本人に、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に、入社報告書を提出させることを忘れないようにしてください。

特定技能の登録支援機関について

特定技能外国人を受け入れる場合、定められた支援が必要となります。「登録支援機関」とは、特定技能外国人(1号)が、特定技能の在留資格に基づく活動を円滑に行えるよう支援を行う機関です。

※送出機関とは別の役割、支援内容となります。

「登録支援機関」の支援内容は、下記の10項目です。

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国する際の送迎
  3. 住居確保に・生活に必要な契約に係る支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続等への同行
  6. 日本語学習の機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援(人員整理等の場合)
  10. 定期的な面談・行政機関への通報

特定所属機関(受入れ機関)は、受け入れる外国人人材に対してこの項目にある支援を実施しなければいけませんが、特定技能外国人の母国語でかつ専門的な内容となるため難しいかもしれません。

その場合は支援内容の一部または全部を、「登録支援機関」へ委託することができます。

人財ワークスは「登録支援機関」が運営しています

弊社は「登録支援機関」として、外国人材がより長く安心して日本で働けるためのご支援を行っております。特に、アジア、タイとの繋がりが深く、現在タイ現地へ日本語学校を建設中です。

外国人人材の雇用を検討している、人手不足を解消したい企業様へ無料でご相談に乗りますので、外国人人材雇用に関するお悩みやご質問がございましたら、ぜひお問い合わせくださいませ。

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